日本の住まいの形を変えた「団地」。
戦後10年経った1955年(昭和30年)、良質な住宅を大量に供給することを目的に設立された、日本住宅公団が開発した団地のひとつ、1958年(昭和33年)に分譲された、阿佐ヶ谷住宅。
住人同士の繋がりや育てに適した環境を意識した空間設計、前川國男の三角屋根のテラスハウスが印象的で、多くのレトロ住宅ファンを魅了してきた阿佐ヶ谷住宅についての本です。
阿佐ヶ谷住宅を介して、当時の時代背景や、住宅環境、生活スタイル、また、阿佐ヶ谷住宅にかかわった前川國男、津端修一といった建築家から、師事したもしくは影響を与えた建築家、ル・コルビュジェ、フランク・ロイド・ライト、アントニン・レーモンドなどの系譜も書かれています。
津端修一は、映画「人生フルーツ」で、その暮らしぶりが紹介されていましたが、かつては青山の同潤会アパートの裏手に住んでいて、同潤会アパートの棟間から見える東大の時計塔と富士山に、ロングビスタの原体験があったというのは驚きでした。
現代の集合住宅に大きな影響を与えた、日本住宅公団の建築計画・都市計画についての指針も学べます。